人生100年時代 60代からの住まい
ここ4、5年、私共の会社では、20代、30代、40代前半のお客様の住宅新築工事が、ほとんどでした。ところが、ご縁あって、昨年11月より60代のお客様の大規模修繕工事を施工させていただき、今年4月末に完成いたしました。ほぼ基礎と骨組みを残すだけの新築なみの大工事でした。なかなかここまでのご提案は、私共もいかがなものかと思いましたが、思い切って決断してくださったご施主様には、とても感謝しております。人生100年と言われるこの時代。私共がこれからの住まいについて、どういう提案をしたら良いのか、思うことを書いてみました。
60代からの第二の人生において快適な住まいとは
年齢を重ね、定年後、60代からの人生を歩む時、家で過ごす時間がこれまで以上に長くなります。シニア世代の毎日を快適で楽しく、なにより安全に住まうため、リフォームを考える人も多いのではないでしょうか。では、第二の人生を豊かに過ごすために行うリフォームで大切なことは何でしょうか。
夫婦二人で過ごすなら思い切って平屋に建て替えることが理想ですが、やはりリフォームを考える場合は、お風呂やキッチン、トイレなどとあわせておすすめしたいのが、外張り断熱です。外壁を覆うように断熱材を張る為、傷んだ外壁の見た目まできれいになるのが特徴です。床暖房を備えるという策もありますが、費用もかさむうえ、廊下や浴室などは寒いままという可能性があります。部屋から移動する際に温度差があると身体に負担になる場合があります。暖房、冷房など家電の使用で家中の温度を快適に保つためにも、外張り断熱を検討してみてはいかがでしょうか。また通常のリフォームでも、 木材や漆喰など自然素材を使用したリフォームを推奨します。昔から日本家屋に使われていた自然素材が除湿や防臭に効果を発揮するからです。フローリングの床は冷たいものでは?と思われがちですが、柔らかな杉などは蓄熱力も高いため、素足で歩いても快適です。柔らかな木材のデメリットとしては傷付きやすいことが挙げられますが、大人だけの暮らしなら心配ないでしょう。快適な高断熱に自然素材をプラスすることで、ゆとりのある癒しの空間を演出できます。
最新機能、使いやすさどちらも取り入れて
例えばキッチンのリフォームといえば、まず安全面からIHをお勧めしますが、最近では、ガスコンロでも安全に配慮された性能を備えた製品も数多く出ており、使い慣れた直火を使って調理したいという人は従来通りガスを選択することもできます。加えて収納やお手入れに便利な機能は積極的に採用することをお勧めします。汚れに強くお手入れが簡単な加工、高い場所でも簡単に手が届くような工夫されたビルトインタイプの収納など、最新の機能を備えたキッチンは家事の負担を軽減してくれます。毎日使うキッチンだからこそ、 便利で、そして使い勝手にこだわって選びたいものです。
シニア世代の浴室は5年後、10年後を見据えた快適&安全性に着目
毎日使う浴室や洗面所選びで注意したいのは、5年後、10年後も快適に、安全に使えるかどうかがポイントです。日本のシニア世代に多い心筋梗塞や脳卒中ですが、温かい部屋から寒い脱衣所に、さらに寒い浴室に入り、熱い湯船につかる。この温度変化が血圧の変動を呼び起こし、脳卒中や心筋梗塞の要因となっているとも言われています。今は健康に何の問題がなくとも、5年、10年と歳を重ねた時のため、手摺やバリアフリーなどに加え、浴室暖房乾燥機の採用や、断熱効果のある床材のものを選ぶことをお勧めします。浴室暖房乾燥は洗濯物を外に干す手間も省け、家事の負担も軽くなります。また力を入れずにお湯を出せる水栓金具、体力を使うお風呂の掃除を楽にするため、自動洗浄付きのバスタブなども検討してみてはいかがでしょうか。
趣味を楽しめるような安全な空間で生活に潤いを
お子さんの使っていたスペースを、リフォームで、夫婦それぞれの趣味のスペースとして活用する方法もお勧めします。家で過ごす時間が増えてきたからこそ、プライベートな時間を大切にすることも、うるおいのある暮らしには必要だといえるでしょう。音楽やハンドメイドなど、好きなものに没頭できる時間と空間を確保できるのは第二の人生の醍醐味です。
また、安心して暮らすためにはセキュリティも重要。玄関はもちろんですが、窓のサッシも忘れずにチェックしておきたいものです。
現在子育て中で20~40代前半の新築住宅を建てようとしている方々のご両親はまさしくこの世代だと思います。ぜひご両親の家も気にかけてくだされば幸いです。